貿易用語

INCOTERMSの意義

貿易取引上の紛争要素をなくし、国際貿易の拡大を図るため、貿易取引の慣習と用語の統一化運動が 第一次世界大戦後、国際商業会議所(International Chamber of Commerce: ICC)と国際法律協会(International Law Association)に よって活発に展開されてきたが、1936年1月に国際商業会議所の貿易条件委員会(Trade Terms Committee)の調査を基に、"貿易条件の 解釈に関する国際規則"(International Rules for the Interpretation of Trade Terms、略称International Commercial Terms: Incoterms、1936)を国際商業会議所理事会が正式採択したことで、広く使われるようになった。 INCOTERMSは、1936年の制定以来、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年、2010年にそれぞれ改定または補完され、現在11種類の取引条件を使用するに至り、売買価格の算出に当たり、 世界中で最も広く採用され使用されている。

Incoterms 2010

貿易取引条件の解釈に関する国際規則を提供するためフランス·パリに本部を置いている国際商業会議所(ICC)が制定した規則で、 これまで6回改訂されており、"Incoterms 2010"は2010年に改訂され、2011年1月から適用されている。 Incoterms 2010は、11種類の定型化された 取引条件に区分され、INCOTERMS2000と比べて変わった点をみると、Group Dの条件が強化され、DAF、DES、DEZ、DDUの4つの 項目は廃止され、運送方式制限なく適用可能なDATとDAPの2条件が追加され、13条件が11条件に変更された。 DAT(delivered at terminal、ターミナル引渡し条件)は従来のDEZを強化し、コンテナ運送に適するように調整したもので、DAP(delivered at place、目的地引渡し条件)は従来のDES、DAF、DDU を含むものである。

工場渡し条件 - EXW[EX-Works]
この規則は国内取引に適しており、国際取引では通常、FCAがより適切である。 工場引渡しは、売主がその営業所又はその他の指定場所(例えば、作業場、工場、倉庫等)において物品を買主の処分下に置く際に売主が引き渡したものとなることを意味する。 売主は、物品を受け取用車両に積載しなくてもよく、物品の輸出通関を求められてもこれをしなくてもよい。 当事者は、指定場所内の地点をできるだけ明確に明示することが望ましい。 その地点まで費用とリスクを売主が負担するからである。 買主は、指定の引渡し場所に合意された地点があるときは、その地点から物品の受領に伴う全ての費用と危険を負担する。 EXWは売主の最小義務を標榜する。
運送人渡し条件 - FCA [free carrier]
運送人渡しとは、売主が物品をその営業所又はその他の指定場所において買主が指定した運送人若しくは第三者に引き渡すことを意味する。 当事者は、指定引渡場所内の地点をできるだけ明確に明示することが望ましい。 その地点でリスクが買い手に移転するからだ。 売主の営業区内において物品を引渡しようとする場合において、当事者は、営業場の住所を指定引渡し場所として明示しなければならない。 しかし、他のある場所において物品を引渡ししようとする場合、当事者はそのような他の引渡し場所を明示しなければならない。 FCAに該当する場合に物品の輸出通関は、売主がしなければならない。 しかし、売主は物品の輸入通関をしたり、輸入関税を支給したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
輸送費込み条件 - CPT [carriage paid to]
貿易取引において、売主が運送費を支払って買主に対し貨物を運送する価格条件である。 輸送費込み条件または簡略にCPTともいう。 "輸送費込み条件"は、売主が合意された場所(当事者間にこれらの場所の合意がある場合)において、物品を自ら指定した運送人若しくは第三者に引き渡し、売主が物品を指定目的地まで運送するのに必要な契約を締結し、その運送費用を負担しなければな らないことを意味する。 当事者は合意された目的地内の地点をできるだけ正確に特定することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからだ。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 売主が彼の運送契約により指定目的地で貨物の積卸しに係る費用を支出した場合において、当事者間で別段の合意がなければ、売主は、それらの費用を買主に求償することができない。 CPTで売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品を輸入通関したり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
輸送費・保険料込み条件 - CIP [carriage and Insurance Paid to]
輸送費・保険料込み条件は、売主が合意された場所(当事者間にこれらの場所の合意がある場合)において、物品を自ら指定した運送人や第三者に引き渡し、売主が物品を指定目的地まで運送するのに必要な契約を締結し、その運送費用を負担しなければなら ないことを意味する。 売主は、また、運送中の買主の物品の滅失又は損傷の危険に備えて保険契約を締結する。 買主が留意することで、CIPで売主は単に最小条件で保険に加入するよう求められるだけである。 もっと広い保険の保護を望むなら、買主は売主と明示的にそのように合意するか、さもなければ自分で追加保険に加入しなければならない。 また、当事者は合意された目的地内の地点をできるだけ正確に特定することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからだ。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 売主が運送契約により指定目的地で貨物の積卸しに係る費用を支出した場合において、当事者間で別段の合意がなければ、売主は、それらの費用を買主に求償することができない。 CPTで売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品を輸入通関したり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務はない。
ターミナル持込渡し条件 - DAT [Delivered At Terminal]
ターミナル持込渡しとは、物品が到着運送手段から貨物が積卸しされた状態で指定目的港若しくは指定目的地の指定ターミナルにおいて買主の処分下に置かれる際に売主が引き渡したものとなるものをいう。 ターミナルは埠頭、倉庫、コンテナ装置場(CY)または道路·鉄道·航空貨物のターミナルのような場所を含み、屋根の有無を問わない。 売主は、指定目的港若しくは指定目的地まで物品を運送し、貨物の積卸しに伴う全ての危険を負う。 当事者はターミナル及び、可能であれば、合意された目的港や目的地のターミナル内の地点をできるだけ明確に明示することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからである。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 さらに、当事者がターミナルから他の場所まで物品を運送し、取り扱うことに伴うリスクと費用を売主が負担するように意図するときは、DAPまたはDDPが使用されなければならない。 DATにおいて売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主には物品を輸入通関したり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
仕向地持込渡し条件 - DAP [Delivered At Place]
仕向地持込渡しとは、物品が指定目的地で到着運送手段に乗せられたまま貨物の積卸し準備された状態で買主の処分下に置かれるときに売主が引き渡したものとなるものをいう。 売主は、そのような指定の場所まで物品を運送するのに伴う全てのリスクを負担する。 当事者は合意された目的地内の地点をできるだけ明確に明示することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからだ。 売主が彼の運送契約により目的地で貨物の積卸しに関する費用を支出した場合において、当事者間で別段の合意がなければ、売主は、これを買主に求償することができない。 DAPにおいて売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主には物品を輸入通関したり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。 当事者間で売主が物品を輸入通関し、輸入関税を負担し、輸入通関手続を行うことを希望するときは、DDPが使用されなければならない。
仕向地持ち込み条件,関税込み - DDP [Delivery Duty Paid]
"仕向地持ち込み条件,関税込み"とは、物品が到着運送手段から貨物が積卸しされた状態で指定目的港若しくは指定目的地の指定ターミナルにおいて買主の処分下に置かれる際に売主が引き渡したものとなるものをいう。 "ターミナル"は埠頭、倉庫、コンテナ装置場(CY)または道路·鉄道·航空貨物のターミナルのような場所を含み、屋根の有無を問わない。 売主は、指定目的港若しくは指定目的地まで物品を運送し、そこに貨物の積卸しをすることに伴う全ての危険を負担する。 当事者はターミナル及び、可能であれば、合意された目的港や目的地のターミナル内の地点をできるだけ明確に明示することが望ま しい。 その地点までのリスクは売主が負担するからだ。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 さらに、当事者がターミナルから他の場所まで物品を運送し、取り扱うことに伴うリスクと費用を売主が負担するように意図するときは、DAPまたはDDPが使用されなければならない。 DATにおいて売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主には物品を輸入通関したり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
船側渡し条件 - FAS [Free Alongside Ship]
この規則は、専ら海上運送や内水運送の場合にのみ利用されなければならない。 船側渡しは、物品が指定船積港において買受人により指定された本船の船側(例えば、埠頭若しくはバージ船)に置かれる際に売主が引き渡したものとなることを意味する。 物品の滅失又は損傷の危険は物品が船側に置かれたときに移転し、買主はその時点以降の全ての費用を負担する。 当事者は、指定船積港内の積載地点をできるだけ明確に明示することが望ましい。 その地点までの費用と危険を売主が負担し、かつ、そうした費用及び関連する貨物取扱費用がその港の慣行に応じて多様であるからである。 売主は、物品を船側に引き渡し、又は既に船積のためにそのように引き渡された物品を調達しなければならない。 ここに"調達"(procure)を規定したのは、特に一次産品取引(commodity trade)において普遍的な複数の連続的売買("連続売買")に対応するためである。 物品がコンテナに積載される場合には、売主が物品を船側ではなくターミナルで運送人に引き渡すのが典型的である。 このような場合に、FAS 条件は不適切であり、FCA 条件が使われるべきである。 FAS条件において売主は該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品の輸入通関をしたり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
本船渡し条件 - FOB [free On Board]
この規則は、専ら海上運送や内水運送の場合にのみ利用されなければならない。 "本船渡し"とは、売主が物品を指定船積港において買受人により指定された本船に積載して引き渡し、又は既にそう引き渡された物品を調達することを意味する。 物品の滅失又は損傷の危険は、物品が本船に積載された時に移転し、買主は、その時点以降の全ての費用を負担する。 売主は、物品を本船に積載して引き渡し、又は既に船積のためにそのように引き渡された物品を調達しなければならない。 ここに"調達"(procure)を規定したのは、特に一次産品取引(commodity trade)において普遍的な複数の連続的売買("連続売買")に対応するためである。 FOBは例えば、典型的にターミナルで引き渡されるコンテナ貨物のように、物品が本船に積載される前に運送人に引き渡される場合には適切ではない。 その場合には、FCA規則が使用されるべきである。 FOBにおいて売主は、該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品の輸入通関をしたり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
運賃込み条件 - CFR [Cost And Freight]
この規則は、専ら海上運送や内水運送の場合にのみ利用されなければならない。 "運賃込み引渡"とは、売主が物品を本船に積載して引き渡し、又は既にそう引き渡された物品を調達することを意味する。 物品の滅失又は損傷の危険は、物品が本船に積載されたときに移転する。 売主は、物品を指定目的港まで運送するのに必要な契約を締結し、それに伴う費用と運賃を負担しなければならない。 当事者は合意された目的港内の地点をできるだけ正確に特定することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからだ。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 売主が運送契約により目的港内の明示された地点で陸揚げの費用を支出した場合において、当事者間で別段の合意がなければ、売主は、これを買主に求償することができない。 売主は、物品を本船に積載して引き渡し、又は既に目的港まで船積のためにそのように引き渡された物品を調達しなければならない。 また、売主は、運送契約を締結し、又はそれらの契約を調達しなければならない。 ここに"調達"(procure)を規定したのは、特に一次産品取引(commodity trade)において普遍的な複数の連続的売買("連続売買")に対応するためである。 CFRは、例えば典型的にターミナルで引き渡されるコンテナ貨物のように、物品が本船に積載される前に運送人に引き渡される場合には適切ではない。 この場合には、CPT 規則が使用されなければならない。 CFRにおいて売主は、該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品の輸入通関をしたり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。
運賃・保険料込み条件 - CIF [cost Insurance And Freight]
この規則は、専ら海上運送や内水運送の場合にのみ利用されなければならない。 "運賃・保険料込み引渡"とは、売主が物品を本船に積載して引き渡したり、すでにそのように引き渡された物品を調達することを意味する。 物品の滅失又は損傷の危険は、物品が本船に積載されたときに移転する。 売主は、物品を指定目的港まで運送するのに必要な契約を締結し、それに伴う費用と運賃を負担しなければならない。 売主は、また、運送中の買主の物品の滅失又は損傷の危険に備えて保険契約を締結する。 買主が留意すること、CIFで売主は単に最小条件として付報するよう求められるだけである。 もっと広い保険の保護を望むなら、買主は売主と明示的にそのように合意するか、さもなければ自分で追加保険に加入しなければならない。 当事者は合意された目的港内の地点をできるだけ正確に特定することが望ましい。 その地点までのリスクは売主が負担するからである。 売主は、これらの選択を的確に満足する内容で運送契約を締結した方が良い。 売主が彼の運送契約により目的港内の明示された地点で到着費用を支出した場合において、当事者間で別段の合意がなければ、売主は、これを買主に求償することができない。 売主は、物品を本船に積載して引き渡し、又は既に目的港まで船積のためにそのように引き渡された物品を調達しなければならない。 また、売主は、運送契約を締結するか、又はそれらの契約を調達しなければならない。 ここに"調達"(procure)を規定したのは、特に一次産品取引(commodity trade)において普遍的な複数の連続的売買("連続売買")に対応するためである。 CIF は例えば、典型的にターミナルから引き渡されるコンテナ貨物のように、物品が本船に積載される前に運送人に引き渡される場合には適切ではない。 この場合には、CIP 規則が使用されなければならない。 売主は、該当する場合に物品の輸出通関をしなければならない。 しかし、売主は物品の輸入通関をしたり、輸入関税を負担したり、輸入通関手続きを遂行する義務がない。